しんにょう「辶」いろいろ
部首である「辶」、読みは「しんにょう*1」ですが、
「道」「通」「運」など、感覚的には道に関係する漢字についているような
気がします。
今回は、この「辶」について、その由来について調べてみました。
「辶」の由来
「辶」は元々、「彳」と「止」を合わせた「辵」という形です。
「辵」の上3本の払いが、「彳」を崩した形です。
甲骨文では、十字路を意味する「行」と足を意味する「止」を組み合わせた形で
示されているので、「行」の左側と「止」が「辵」になったと考えるのが
通説となっています。
画像は上げませんが、日通こと日本通運のロゴは「通」の字ですが、
この「辶」は比較的「辵」に近い形をしています*2。
点の数は1つ?2つ?
しんにょうは、「辶」の古い形として「辶」が使われることがあります。
元々の形が「辵」ですから、形が次第に省略されて「辶」になり、
更に省略されて「辶」になったのでしょう。
中国ではかなり古い時代から「辶」の形まで省略されて使われていました。
行書ではこの1つの点さえも省略され、棒2本であったり、
更に省略して横棒1本にまでになっているものもあります。
この最終形態については、以前、ひらがなの「を」の成り立ちを紹介した時にも触れました。
上記で紹介した漢字は全て「近」ですが、
下記のように、「止」と「斤」を上下に並べた形もありました。
※写真は全て、伏見冲敬, 書道大字典, 角川書店, 1974.