2ヶ月後のTOEICのために要点やテクニックをまとめてみた(その20:「論旨展開表現」で概要把握する)

文をつなぐ表現方法は、接続詞の他に、そのような意味を持つ副詞(句)や前置詞(句)を用いる方法がある。特に、「なぜなら」「つまり」「しかし」など、論旨の展開を行う表現をここでは「論旨展開表現」と呼んで見たいと思う*1。この論旨展開表現は、PART5や6の文法問題で直接問われることもある項目であるが、実は、文法問題だけではなく、リーディングやリスニングでも有効活用することができる。今回はこの論旨展開表現の有用性を紹介してみたい。

論旨展開表現は話の内容の節目

論旨展開表現の持つ意味は、順接、逆接、譲歩、累加、例示などがあり、日本語では「だから」「しかし」「にも関わらず」「さらに」「例えば」などがそれらに該当する。これらの表現は文の内容の節目で使われ、論旨展開、つまり話の流れを示す働きを持つ。これを有効的に使うことで、知らない英単語が出てきたり、リスニングで聞き取れない部分が出てきても、その概要を補完することが出来るのだ。例えば、ついさっき使った表現であるが
「論旨展開、つまり話の流れ」
における「つまり」の働きは、「前者の表現を言い替えますよ」という意味を示している。だから、もしこの「論旨展開」という熟語の意味がわからなくても、その後ろにある「話の流れ」の意味が分かれば、
「論旨展開」=「話の流れ」
であると推測することが出来る。試験問題では100%そうであると断言して良い。このように、論旨展開表現はリーディング全般やリスニング全般で有用なのである。

ひとつ具体例を挙げてみよう。リスニングパートでは難易度の高いPART4の、更に難易度の高い「公共放送」の問題だ。
放送内容はラジオ番組の一部であり、何やら天気予報を話しているようだ。TOEICで出題される天気予報は、日本のニュース番組やラジオ番組でよく聞くような形式張ったものではなく、パーソナリティがコメントをはさみながら天気の情報を伝えている。形式張ってない分、どれが大切な情報なのかを聞き分ける必要があり、必ずしも楽とは言えない。今回の例では、最初の1,2文は聞き取れたが、その後はほとんどわからなかったとするが、初心者の場合は本当にこうなってしまう。しかし、

  • 今日の天気は良いことはわかった
  • その後に"However"という単語が聞こえた


Three little pigs / my_southborough

という状態で、設問に
「ラジオのパーソナリティは明日何をするべきと勧めていたか?」
とあれば、聞き取れた情報と"however"という逆接の副詞とを照らしあわせ、明日の天気は良くないと推測し、そのようなときにすることを選択肢から絞り込むことが出来る。上手くすれば、答えを1つに絞り込むことが出来るかも知れない。

重要な論旨展開表現

中村紳一郎ら「新TOEIC TEST文法・語彙問題秒速解答法」を参考に、論旨展開表現(文献内では「接続表現」や「論理マーカー」と呼んでいる)をまとめてみる。

順接
  • therefore: それゆえ
  • thus: それゆえ
  • accordingly: したがって
  • consequently: その結果
  • eventually: 結局
逆接・譲歩
  • however: しかしながら
  • nevertheless: それにも関わらず
  • on the other hand: 一方で
言い換え
  • in other words: 言い換えると
  • that is: すなわち(通例直後にカンマ)
例示
  • for example: 例えば
  • for instance: 例えば
累加
  • besides: その上
  • moreover: その上
  • furthermore: その上
  • additionally: その上

▶ジャズのスタンダードナンバーである"Fly me to the moon"は(TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のED曲の原曲だと言うと、分かる人が増えるかな)、元々のタイトルは"In other words"であることをご存知だろうか。歌詞を読むとわかるが、前半でのセリフは全て「愛してる」を言い換えているのだと言っている。

順接や言い換えでは"so"や"and"、逆接では"but"、譲歩では"though"、累加では"and"が代表的な接続詞であるが、接続詞以外の論旨展開表現もマスターしよう。口語では使用頻度が低いこともあり、比較的表現が長いが、是非しっかり覚えたいところである。
また、論旨展開表現とはちょっと違うのだが、話し手/聞き手の感情を表す表現も、内容把握のヒントになることがある。例えば、"Unfortunately"という表現があれば、その後は良くない内容が続くのだなと推測することが出来る。

以下、参考文献
中村紳一郎・Susan Anderton・森田鉄也: 新TOEIC TEST文法・語彙問題秒速解答法, 語研, 2009.
社会人になる直前にPART5対策のために買った1冊。文の構造を読み解く重要性がよく分かるので、僕みたいに文法を毛嫌いしない人間はすんなりと飲み込めるのですが、そうでない人にとっては中々とっつきにくいかもしれません。でも、日本における英語学習は文法をしっかりやった上での応用というのが大前提になってますから、逆説的かもしれませんが、日本にいる限りは、英文法からは逃げられないのだと思います。英語を運用する上では会話表現とかも勿論大事なのですが、日本では「英語」と「英会話」はほとんど別物扱いなので、言語的な観点からグローバルになるには、その両方を身につける必要があるのだと思います。"What time it is now?"なんて現地では使わず、"Do you have the time?"が定番フレーズなのを、大学院生の時に国際学会に参加するために行ったアメリカで思い知ったのは良い教訓です。
話を戻しますが、この本は前半に文法事項や重要単熟語を解説した後に、5回の問題演習のセットがあります。問題のタイプによって、目標解答時間が記されており、単に問題を解くだけでなく、どれくらいの時間で解くべきなのかが分かるのがいいですね。この記事を書いている時点ではまだ半分くらいまでしか解いていないので、試験前までには解き終わりたい、出来れば2周したいと思っていますが、そんな時間とやる気があるかなぁ。

*1:元々は参考文献に合わせて「接続表現」という言葉で記事を書き始めたのだが、色々調べてみたところ、日本語の「接続詞」と英語の「接続詞」は機能的に異なるらしく、この記事に英文法における「接続詞」を含むのは適切ではないと判断し、「論旨展開表現」と呼び替えることにした、という顛末がある。