2017-01-01から1年間の記事一覧

"queue"は何故これで「キュー」と発音するのか

プログラマにはおなじみの単語、「配列」を意味する"queue"ですが、 所見ではとても読めないですよね。僕は学生時代、暫く「クエゥエ」って読んでいました。さて、この"queue"ですが、何でこんな綴りなんでしょうか? フランス語としては問題ない綴り この"q…

「茶漬る」の文献「遊子方言」「傾城買四十八手」から「茶漬る」を探す

今、twitter上で「茶漬る」という動詞が話題になっています。 「告る」「ディスる」のような名詞+「る」という造語法は江戸時代からあったようです。 辞書編集者の神永暁さんの「さらに悩ましい国語辞典」(時事通信社)によると、 「お茶漬けを食べる」と…

"A New English Grammar, Logical and Historical"の"h"に関する記述 まとめ

内容的には「hの話」シリーズなのですが、余りに資料的なので番外編ということで。先日、英語の"gh"について扱ったときに、"strong h"という表記が参考文献にありました。hの話(その8:英語の"gh"とドイツ語の"ch")これについて、著者の田中は同書の中で「…

ひらがな・カタカナ裏話(その5:字源の漢字の裏を取る(後編))

ラスト4字を紹介します。前回:ひらがな・カタカナ裏話(その4:字源の漢字の裏を取る(中編)) へ(部) 「へ」が「部」から生まれたという話は、以前ご紹介したとおりです。参考:ひらがな・カタカナ裏話(その2:「へ」が「部」から出来たって本当?)日…

ひらがな・カタカナ裏話(その4:字源の漢字の裏を取る(中編))

前回の続きです。前回:ひらがな・カタカナ裏話(その3:字源の漢字の裏を取る(前編)) し(之) Meshi / kzys 「し」の書体として上に「丶」が打たれるものがあるので、「之」が由来というのにはそんなに違和感はないのですが、 それにしても「Z」のよう…

ひらがな・カタカナ裏話(その3:字源の漢字の裏を取る(前編))

ひらがなの由来の中には、「それホント?」と言いたくなるようなものがあります。 過去に記事にした「み」や「へ」は、そんな思いから記事にしたものです。 この2つは、元の字とされる「美」や「部」と大きく形が異なるため、その成り立ちに疑問が湧いた字で…

hの話(その9:"sh"のh)

▲シュークリームの「シュー」とはフランス語で「キャベツ」を意味する"chou"が由来です。ちなみに「クリーム」は英語由来であり、「シュークリーム」という言葉は日本で生まれた和製外来語です。前回:hの話(その8:英語の"gh"とドイツ語の"ch")前々回にて…

hの話(その8:英語の"gh"とドイツ語の"ch")

▲モーツァルトの「アイネクライネナハトムジーク」は、ドイツ語で"Eine kleine Nachtmusik"と綴り、このうち"nacht"とは英語の"night"に相当し「夜」のことである。前回:hの話(その7:英語の"th"(後編))ギリシャ語やラテン語において、時代が進むに連れ…

hの話(その7:英語の"th"(後編))

前回からの続きです。前回:hの話(その6:英語の"th"(前編)) "th"の歴史(中英語) 中英語から、再び"th"の綴りが復権します。 前回と同じ、田中(1970)を引用します。 (中英語(ME)のアルファベット)のうち、ȝ('yogh')とþ('thorn')はそれぞれy…

hの話(その6:英語の"th"(前編))

Vg 22, Häggesled kyrka, Västergötland / Bochum1805前回:hの話(その5:日本語史におけるh)英語の"th"の綴りは、初学者にとっては謎のひとつだと思います。 綴りも謎だし、発音もなじみがない。多くの日本人にとって初めて学ぶ外国語は英語なので、 これ…

hの話(その5:日本語史におけるh)

前回:hの話(その4:hの役割が変わった時) 現代日本語には極当たり前に存在する[h]の音であるが、 日本語の歴史においては、新しく日本語に加わった音である。 しかし一方で、「ハ行」に相当する文字自体は、日本語が文字で書かれ始めた頃から存在している…

ひらがな・カタカナ裏話(その2:「へ」が「部」から出来たって本当?)

ひらがな・カタカナ裏話の第2弾、漸くです。前回:ひらがな・カタカナ裏話(その1:「み」のはらいはどこから来たの?)今回のテーマは「へ」です。 前回の「み」よりも、成り立ちには納得が行かないでしょう。 どうやって11画の「部」が、たった1画の「へ」…

ハワイ語っぽいジェネレータ

monkeypod tree(hitach tree) / frontriver こないだの記事で、子音の少ないハワイ語について触れました。参考:なぜ日本人はLとRの発音を区別できないのか?(中学生の英語なぜなぜシリーズ その3)ハワイ語には、子音は/h/,/k/,/l/,/m/,/n/,/p/,/w/,/'/*1…

韓国語の/z/音について

前回のブログで、韓国語の/z/音について触れてから、ちょっと気になってしまったので色々調べてみました。参考:なぜ日本人はLとRの発音を区別できないのか?(中学生の英語なぜなぜシリーズ その3) 最も参考になったのは、金東昭著(栗田英二訳)の「韓国…

なぜ日本人はLとRの発音を区別できないのか?(中学生の英語なぜなぜシリーズ その3)

なぜ日本人はLとRの発音を区別できないのか?これは単純に、多くの日本人の母語である日本語が、LとRの音を区別しないため、LとRの音を区別することに慣れていないからである。 日本語の場合、(母音が後続するときは)Lで発音してもRで発音しても、共に「ら…

英語の1人称単数代名詞

日本語の1人称単数代名詞には、「私」をはじめ、「僕」「俺」「うち」など、様々なものがあるが、英語には"I"しかない。確かに、現代英語の標準語では、"I"が唯一の1人称単数代名詞であるが、地域や時代を広げてみると、幾つかのバリエーションがあったこと…

なぜtwoと綴って/tuː/と発音するのか?(中学生の英語なぜなぜシリーズ その2)

なぜtwoと綴って/tuː/と発音するのか?前々からoneについては気になっていて、先程記事にしたのだが、さてとtwoに目を遣ると、one程ではないにしても、これも合点の行かない点があることに気づいたので記事にしました。何が引っかかるか。またしてもwである…

なぜoneと綴って/wʌ́n/と発音するのか?(中学生の英語なぜなぜシリーズ その1)

なぜoneと綴って/wʌ́n/と発音するのか?英語を学習すると、いや、英語学習を始める前から、ありふれた英単語として接しているため、改めてこのことを疑問に思う人はそんなにいないかもしれない。 しかし、英語学習を進めていき、単語の綴りと発音の関係がお…