2ヶ月後のTOEICのために要点やテクニックをまとめてみた(その9:単複・可算不可算問題のための数量形容詞の整理)

TOEIC対策と言うより、中学・高校英文法のまとめみたいになってしまいますが、今回はallやevery, eachなどの数量代名詞を整理したいと思います。これをまとめることによって、PART5や6の文法問題を素早く解き、PART7に充分な時間を割けるようにします。正直、今日扱う内容はルールですから、こんなものに時間を掛けるのなんて勿体ない。

all/ every/ each

allとeveryとの区別、everyとeachとの区別、つきますか?なーんとなくしか理解していないと、文法問題で泣きを見ますよ。

  • all+[複数名詞]
  • every+[単数名詞]
  • each+[単数名詞]


となります。後ろに複数名詞がつながるのはallだけです。everyとeachの後ろの名詞は単数です。従って、文の主語にこれらの数量形容詞が付いている場合は、当然、動詞に影響を与えます。具体的には、時制が現在であれば、everyとeachを冠する主語に続く動詞には「三単現のs」が付きます
因みに、everyとeachの違いですが、私は、everyには「みんな」というニュアンスが、eachには「各々」「それぞれ」というニュアンスがつく、という程度で理解しています。和訳する際もそう訳しますよね。手元の文献ですと、

eachはeveryと同じように「1つずつ」に焦点を当てる単語で、「each+単数名詞」で使う点、さらには、「each+単数名詞」が主語になる時には動詞は単数扱いになる、という点もeveryと同じなのですが、eachという単語そのものには、everyのような「すべて」の意味は出てきません。日本語では「それぞれの」「各々の」などの訳し方をします。(中略)everyから「すべて」という意味を取り除くとeachになる、と考えてみてください。
(津守光太: aとtheの底力―冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界, プレイス, p92)

とあります。一方で、eachを「それぞれの〜」という日本語に対応していると考えると誤英訳をすることがあるのですが、今回は詳しくは触れません。詳しく知りたい人は、小倉弘「受験英語禁止令」(研究社)を見てみて下さい。

many/ much/ few/ little

「多くの」「たくさんの」という意味を付加したいとき、可算名詞であればmany、不可算名詞であればmuch。fewとlittleも「僅かな」という意味で同様の関係、というところは今更でしょう。可算・不可算という概念が日本語にないので、そもそも後ろに続く名詞が可算なのか不可算なのかは別途覚えなければならないのですが、まぁその話は今回は置いておきます。今回はそれ以外の点について、この4単語を見てみます。

muchとlittleは副詞にもなる

muchとlittleは副詞の働きもします。特にmuchは副詞の用法が多いので、muchが出てきたら注意しましょう。
また、muchとlittleは副詞の働きをするということは、形容詞を修飾することができるということです。なので、例えばこんな用法もアリなわけです:

  • "A much better chance is coming."

上の用法は、比較級の強調というところで習うmuchの使い方ですが、このように、aとmuchは並ぶことがある一方で、aとmanyはまず並ぶことはありません。この文のmuchはbetterという形容詞に掛かっているのであり、chanceという可算名詞に掛かっているわけではないのです。

some/ any/ no


りんご園 (apple farm) / yellow_bird_woodstock

「someは肯定文のとき、anyは否定文や疑問文のときに使う」なんていうのは、"Would you like some coffee?"という例文がいい反例になってしまいます。someとanyの意味の違いに関する話は長くなってしまうので、ここでは触れません。詳しくは先述の津守の本にもありますし、someの話という点では、私は富田英語の「青森のリンゴ農家」の話が好きです。
ここでは、文法的な側面でこの3単語を比較してみます。

someの後ろは「多くの場合」複数形の可算名詞

someを「いくつかの〜」「〜な人(もの)もいる(ある)」で使う場合、someの後ろに続く名詞は複数形の可算名詞です。someの後ろに複数形の可算名詞が続かない場合は、次のような場合です:

  • some+[不可算名詞]:「ある程度の」

e. g.: Would you like some coffee? 「コーヒーはいかがですか(特に入れ物や杯数は考えていませんが)」

  • some+[単数形の可算名詞]:「何かの」

e. g.: He is some businessman. 「彼は相当なビジネスマンだよ(好意的にも皮肉的にも読める)」
一方で、anyやnoの後ろに続く名詞には制限はありません。可算・不可算のいずれでもいいですし、単数・複数も状況と常識で使い分けて下さい。

見間違えやすいフレーズ

その他、ここでは、PART5や6において、急いでいると文の構造を見間違えやすく、結果、単複を間違えることがあるフレーズを紹介します。

  • a number of/ the number of

"a number of"は「たくさんの〜」という意味で、"a lot of"と同じ意味ですから、その後に可算名詞が続けばそれは複数形になり、これが主語であれば動詞の数変化に影響を与えます。一方で、"the number of"は「〜の数」という意味ですから、これは数字自体を指しているわけで、後ろに続くのは複数形の可算名詞ですが、主語としては単数扱いになります。具体例を挙げるなら、

    • A number of students are in the classroom. 「たくさんの学生が教室にいる」
    • The number of students is more than 40. 「学生の数は40以上だ」

となるわけです。

  • one of

"one of"の後ろに続くのは大抵the+[複数形の可算名詞]です。なので、この後ろの動詞部分が空欄であると、ついつい直前の[複数形の可算名詞]を見てしまい、例えばbe動詞であればareやwereを選んでしまったりするミスがあります。しかし、この文の主語は"one of"「〜のひとつ」なのですから、主語は単数です。

  • those (who)

この言い回しは知らないと解けないかもしれません。"those who"(whoはない場合もある)で「〜な人々」という意味です。「人々」ですから、複数扱いです。

  • Those who want to apply this position are required to come to the personnel division. 「この仕事に応募したい者は、人事課に来ること」

まとめ

+単数可算名詞 +複数可算名詞 +不可算名詞
all
×
every
× ×
each
× ×
many
× ×
much
× ×
few
× ×
little
× ×
some
any
no

以下、参考文献:
津守光太: aとtheの底力―冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界, プレイス, 2008.
冠詞という概念のない日本語を母国語とする我々には、aとtheをネイティブ並みに使いこなすのは至難の業であろう。しかし、冠詞に含まれたニュアンスを読み取ることが出来るようになれば、英語話者のイメージする世界観を共有することができるようになる。この本では、「輪郭」というものをキーワードとして、aとtheの違い、ひいては可算名詞と不可算名詞の違いについて詳しく説明されている。この本を読む前に向山淳子「ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」(幻冬舎)でaとtheのイメージの違いは把握していましたが、この本で、その違いを明確にすることができました。今でも、自分で英作文をしたり、英語を話すときには、この本で学んだことを元に、aを使うのか、theを使うのか、無冠詞で行くのかを決めているくらいです。
余談ですが、冠詞一つ取っても、言語によって様々で面白いです。東アジアの言語は大抵冠詞はありませんが、中国語の「这」の使い方を見てると、数字と組み合わせるときなんかは、冠詞っぽいなと思ったりもします。一方でヨーロッパのほとんどの言語には冠詞の概念はあるのですが、それらの祖先であり長く「世界」の共通語であったラテン語には冠詞はないのです。また、フランス語には「部分冠詞」というものがあったり、ドイツ語では英語とは違った感覚で冠詞を使ったりと、細かい所では違いがあります。更には、アラビア語の定冠詞は"al"であり、アラビア地方由来のものはそれゆえ「アル」から始まる単語が多い(アルカリとかアルコールとか)というのもありますね。多言語を学習すると、そういう面白さがありますよ。

小倉弘: 受験英語禁止令, 研究社, 1998.
この本は、大学受験生なら絶対読んだほうがいい、という類の本ではない。はしがきにも、「かつて<受験英語>をひと通りやってきて、今会社で<実用英語>を躍起になって勉強している方々に、私がこれまでにわかってきた知識が少しでも役に立つのではないかと言う思いで本書を書くことにした。」とあるように、どちらかと言えば、大学受験を終えた人が、次のステップに進むために読む本である。まぁ私はと言えば、高校2年あたりから英語の語源に興味を持つようになり、DUO 3.0の余白には調べた語源やら特殊用法やらを書き込んでいた、受験生としては非常に残念な高校生だったので、この本を手にとったのも当然大学受験の前だったわけですけどね。
内容は、中々マニアックであると言って良いと思う。私がマニアックというのだから、やはり受験生が読むべきものではないのかもしれない。せいぜい英語が得意な上位校受験生か、社会に出て仕事で英語を使っている中で、どうも意思疎通がうまくいかない時があるなと思っている社会人が読むべき本なんだろう。受験生時代は、受験英語という箱庭の中でしか使えないルールに集中し、その箱庭を出るときに、是非この本を読んでほしいと思う。私も今回ここで紹介したのを機に、もう一度読み直してみようと思う。パラパラとめくって見たが、大分忘れているなぁ。