2ヶ月後のTOEICのために要点やテクニックをまとめてみた(その15:冠詞を手掛かりに文法問題を解く)
冠詞というものは、日本人にとっては大変わかりにくく、今ひとつ掴めない代物で、何年も英語を勉強している人でも上手に使いこなせないという人はたくさんいると思います(私もそうです)。しかし、文法問題では、冠詞を上手に使うことで正答に辿り着けるという場合があります。今回はそれを紹介したいと思います。
冠詞は名詞の始まりの合図
冠詞は、文字通り「冠となる品詞」です。では何の「冠」になるのか?それは、名詞の冠になるのです。そんなこと言われなくても当たり前だって?全くその通りです。
- I am a student.
- The student plays tennis over there.
- This is my pencil.
- She gave him some chocolate she had made.
などに見るように、不定冠詞a(an)や定冠詞theの他に、myやyourなどの所有を表すもの、someやany, noなども冠詞的な役割を果たします*1。これらの後ろには、必ず名詞がいますよね?
- a→student
- the→student
- my→pencil
- some→chocolate
このように、冠詞の後ろには必ず名詞がいると考えることができます。「考えることができます」なんて微妙な言い回しをしたのは、英語では「最も〜である」を表現する際に使う"the ...est"のときは、後ろに名詞が続かない場合があるためです。しかし、これも、"the ...est"の後ろに名詞が省略されていると考えれば、例外になることはありません。
- This mountain is the highest (mountain) in this area.
また、副詞の最上級表現でtheをつけるのは本来は誤用なので(誤用は言いすぎかもしれませんが)、あれはまた別の話です。
- She play the guitar the best in her class.
は本来はtheは必要ありません。しかし、今では、特にアメリカ英語では既に一般化した表現になっています。
さて、冠詞の後ろには必ず名詞がいるというお話をしました。そして、この名詞に形容詞を付したい場合は、基本的に冠詞と名詞の間に挟み込むわけです。
- This is a big white dog.
は、bigとwhiteが共にdogを修飾しているわけですが、これを
- This is big white a dog.
とはしませんよね。
このことをわかっていると、例えばPART5にありそうな次のような問題も迷わず解くことができるのです。
- He was surprised that there was the _____ fledgling in the operations room.
- A) finally
- B) only
- C) hardly
- D) rarely
"fledgling"の意味はとりあえずわからないとしておきましょう。でも、下線部の前にtheがありますから、この後ろには必ず名詞がいるわけですから、"fledgling"は名詞だと推測することができます。すると、theと名詞の間に1つだけしか空欄がないので、ここに入るのは形容詞である可能性が大変高くなります。選択肢にある単語は全て副詞の働きを持ちますが、唯一B)の"only"だけは形容詞としても使うことができるので、これが正解になります。
- He was surprised that there was the only fledgling in the operations room.
これで、「彼は、制御室に唯一の新入りがいることに驚いた。」となります。"only"は形容詞で使うと「唯一の」、副詞で使うと「〜だけ」「ただの〜」という意味になります。
- He is an only child. 「彼は一人っ子だ。」
- He is only a child. 「彼はただの子供にすぎない。」
もしも冠詞と名詞の間に2つ以上単語が入る場合は、そのどちらかが副詞である可能性もあります。
- [冠詞] [副詞] [形容詞] [名詞]
となり、形容詞が名詞を修飾し、副詞がその形容詞を修飾する構造になるのです。勿論、先ほどの大きな白い犬の例のように、形容詞が2つ並ぶこともあります。TOEICでは問題としてそこまで多くは出ませんが、名詞が形容詞的な働きをして名詞が連続することもありえなくはありません。先ほどの例文の"operations room"は両方とも名詞ですが、これで1つの「制御室」「運転室」という名詞を作っています。
逆に、冠詞の前に下線部があるのなら、そこに形容詞を入れることはできません。このように、冠詞を上手く使うことで、空欄に入る品詞を絞り込むことが出来るのです。