大学で4年間勉強したドイツ語を復習する(その1:アルファベートは言語のいろは)

会社のTOEIC-IPも終わってしまい、はてこのブログの記事をどうしたものかと思った末、最近すっかりご無沙汰なドイツ語を扱ってみましょうかとなりました。え?ラテン語ですか?ちょっとまた、気が乗った時にでも。ラテン語はまとめる項目が多くて…。
さて、目標がないのもアレなので、独検2級あたりでも見据えてみようかと(独検3級はたまたま持ってるので)。流石に今年のは厳しいので、来年6月のを具体的には目標としてセットしてみます。まぁもう大学生じゃないので実際に受けられるかどうかはわかりませんが。

「あれはベッドですか?」「いいえ、アルファベートです」

じゃあ早速の第1回目は、アルファベートにしましょう。アルファベートというのは、つまりアルファベットです。
ご存知かもしれませんが、この「アルファベット」というのはギリシャ文字の「アルファ(α)」と「ベータ(β)」で「アルファベット」なんですよ。英語では「アルファベット(alphabet)」、ドイツ語では「アルファベート(Alphabet)、フランス語では「アルファベ(alphabet)」です、って、綴りはどれも同じですね。
ドイツ語で使われるアルファベートは英語のアルファベットでもお馴染みのラテン文字26文字ですが、実際にはそれとは別に4つの合字があります。それぞれ順に追ってみましょう。

アルファベート26文字とその音

文字 カタカナ読み 音価 文字 カタカナ読み 音価
A アー /a/ N エヌ /n/
B ベー /b/ O オー /o/
C ツェー /ts/ P ペー /p/
D デー /d/ Q クー /kv/
E エー /ɛ/, /e/ R エル /ʁ/
F エフ /f/ S エス /z/, /s/
G ゲー /g/ T テー /t/
H ハー /h/ U ウー /u/
I イー /i/ V ファオ /f/
J イョット /j/ W ヴェー /v/
K カー /k/ X イクス /ks/
L エル /l/ Y ユプスィロン /ʏ/
M エム /m/ Z ツェット /ts/

半分強は英語と同じ音を担当していますが、いくつかは丸で違うので確認してみますか。

C, Z


ニーチェの「ツァラトゥストラ
かく語りき(Also sprach Zarathustra)」の
「ツ」音はZで表現されています。

Cの読みは「ツェー」、Zの読みは「ツェット」で、両方とも「ツ」の音を担当します。学校で吹奏楽をやっていたり、小さい頃から音楽をやっていたりした人は、音階をドイツ語で表現しますから、Cを「ツェー」と読むのはお馴染みですね、イタリア語でいうところの「ド」ですから。
CとZ、英語では圧倒的にCの使用頻度の方が高いですが、「ツ」の音を示すときに限ればドイツ語では逆で、圧倒的にZの使用頻度の方が高いです。どれくらい高いかといえば、ドイツ語のキーボードではYとZの位置が入れ替わっているくらい、Zは多用します。Cは単独で使われることは外来語の場合がほとんどで、後はHやSと組み合わさって別の音を示すときに使いますが、それはまた次の機会に。

J, Y

ユーハイムのロゴって、よく見たらバームクーヘンなんや!ユーハイムのロゴって、
よく見たらバームクーヘンなんや! /
Hirotomo.SABETTO
バームクーヘンでお馴染みの「ユーハイム」の
「ユ」はJで始まっていますね

Jの読みは「イョット」で、英語ではYが担っている音(ヤ・イ・ユ・イェ・ヨ)を担当しています。元々Jの文字はIから生まれた文字なので*1、本来持っていた音はヤ行の音なのですが、英語やフランス語ではすっかりジャ行を示す文字になっています。一方でドイツ語でのYには「ユプスィロン」なんて大層なお名前がついていますが、これはギリシャ文字のυ(ユプシロン)から来ています。この文字の担当する音は、カタカナで書くと「ユ」としか書きようのない音です。詳しくはこれも次回に。

V, W

ドイツ語でVの文字はファ行を担当しています。完全にFと被っていますが、ドイツ語ではどちらも使います。Vが担当しなくなったヴァ行の音は、代わりにWが担当しています。ですので「VW」ことドイツの自動車メーカー「フォルクスワーゲン」は、現地での正しい発音は「フォルクスヴァーゲン」になります。

点々って言うなー!ベータって言うなー!

ドイツ語では26個のアルファベートの他に、4つの合字を日常的に使います。うち3つは「ウムラオト(ウムラウト)」と呼ばれるもので、以下の3つです。

  • Ä 読み:アー・ウムラオト
  • Ö 読み:オー・ウムラオト
  • Ü 読み:ウー・ウムラオト

それぞれ、A, O, Uとは違う音を担当します。上の「点々」はeが元になっていると言われており、これらの文字はAE, OE, UEと綴られる場合もありますが、原則ウムラオトを使います。一般のアルファベットしかカバーしていないメールなどでは、2文字の表現で代用します。


積分記号(インテグラル)は、
ドイツの数学者ライプニッツ
「長いS」を元につくり使ったのが
始まりとか。

そしてもう1つの合字はßで、読みは「エスツェット」です。これはかつてドイツ語で使われたſ(「長いs」と呼ばれる)という文字とzを組み合わせたもので、「エスツェット」という名前もそこから来ています。この文字はssと等価でありますが、現在のドイツ語正書法では厳密に使い分けられています。それと、この文字には大文字が存在しません。どうしても大文字で書かなければいけない時は、SSと書き換えたり、ßをそのまま大文字扱いで使ったりします。

*1:例えば「イエス・キリスト」の「イエス」は英語で綴るとJesusとなって「ジーザス」になりますし、かつてのローマ皇帝カエサル(Julius Caesar)も、ラテン語読みは「ユリウス・カエサル」、英語読みは「ジュリアス・シーザー」となります。参考:ラテン語の名詞変化はこう覚える(その2:格変化 6つあろうが 怖くない)