まさかのためのヒンディー語講座(その1:文字のつくり)

久しぶりの更新となってしまいましたが、ヒンディー語はちょこちょことやっていますよ。まぁちょこちょことやってるので遅々として進まないのですけど。
さて、それでも、文字の方はそこそこ覚えてきましたので、文字のつくりをここでは紹介したいと思います。

母音を指定しない場合は、デフォルトの母音がセットされます

デーヴァナーガリー文字は所謂「アブギダ」というグループに分類される文字で、日本語とも、英語等に代表されるアルファベットとも違う表記体系ですから、まずはそれにしっかり慣れることが大切です。ヒンディー語等に使用されるデーヴァナーガリー文字の他には、例えばタイ語に使われるタイ文字も「アブギダ」のグループに分類されます。
さて、この「アブギダ」ですが、次のようなルールがあり、デーヴァナーガリー文字もそのルールに従っています。

  • 子音を表す文字(子音字)があり、この子音に母音を表す記号をくっつけることで、子音+母音の発音ができる
  • もし子音字に母音を表す記号を付けなかった場合は、次の2通りの読みからのどちらかが適用される。どちらが適用されるかは単語次第であるが、ある程度の規則性はある。
    1. 子音だけを発音する
    2. 子音に母音"a"がくっついているものとして発音する。

つまり、母音の記号を付けなかった場合は、子音だけ発音される以外にも、自動的に"a"がくっついているものとして読まれることもある、ということです。
実は、原則として、"a"を示す母音記号はありません。このように、「子音文字に潜在的にある母音が内包されている」というのが、「アブギダ」の特徴です。
デフォルトとして母音を持っている、と考えると良いかもしれません。

半母音ならぬ半子音文字

このように、子音字の場合は、"a"をつけて読む場合と、そのまま子音を読む場合の2通りがあります。実は、子音字は、子音しか読まない「半子音字」という形を持っていて、この形になった場合は、絶対に子音だけの読みになります。
半子音字は子音字を途中で書くのをやめたような、そんな形であることがほとんどなので、新しく文字を覚える必要はありません。中には、途中で書くのをやめるには文字の画数が少なすぎて、半子音字を示す記号を付けることで対処している文字もあります。

さて、ここまでの知識を元に、次の単語を読んでみましょう。
नमस्ते
この単語は4つの文字からできています。1つずつ見てみましょう。
最初は"न"ですが、これは"n"の子音字です。ここでは"a"を加えて"na"と読みます。
次は"म"ですが、これは"m"の子音字です。ここでも"a"を加えて"ma"と読みます。
次ですが、この文字は"स"の半母音字です。縦棒が抜けているんですね。なのでこれは"s"と読みます。
最後の"ते"は、これは"t"の子音字に"e"の母音記号がついています。"te"ですが、この"e"は長音なので「テー」となります。
さて、合わせると"manaste"となり、挨拶の言葉「ナマステー」になりました。