2ヶ月後のTOEICのために要点やテクニックをまとめてみた(その25:完全文と不完全文)
前回の記事に引き続いて関係副詞の記事を書こうとしたら、その前に「完全文」と「不完全文」のお話をしなければならないという事に気がついたので、先にそちらでひとつ記事を立てます。前回の記事はこちらね:その24:関係代名詞との関係強化を図る
と、先にこの「完全文」と「不完全文」が分かることで得られるアドバンテージをお話しますと、関係代名詞と関係副詞のどちらを使えばいいのかが分かるのは勿論のこと(それのためにこの記事を立てたわけですから)、TOEICの品詞を選ぶ文法問題にも対処できるようになります。むしろ、品詞を選ぶためにはその英文の構造を解析しなければならないわけで、そのためには5文型を理解していなければならないわけですから、完全文/不完全文の判別が出来るという事は英文の構造を解析できるということで、スキルとしては包含関係が成り立っているわけですね。この記事では、英文の構造解析からお話するので、ご安心下さい。
英語の5文型とその構成要素
日本の英語教育ではお馴染みの5文型ですが、英文の構造解析もやはりここからスタートします*1。
この5文型は英文の構造の基本であり、ほぼ全ての英文はこの5文型のいずれかに分類できます。この文型に登場するSやO、VやCのことをここでは、英文の構造上必要不可欠な要素という意味で「英文の必要要素」と呼びます。この言葉を定義すると、次に完全文と不完全文を定義することができます。
- 完全文:英文の必要要素が欠けていない文
- 不完全文:英文の必要要素が欠けている文
なので例えば、第3文型SVOを取る"visit"という動詞が
"I visit."
という形になっていれば、これは不完全文となります。"visit"は場所を目的語に取らなければならないので、例えば
"I visit his house."
などの形にならなければ完全文になりません。一方で、第1文型SVを取る"go"という動詞が
"I go."
という形になっているのは、これは全く問題ないのです。"go"という動詞は第1文型を取れるので、場所を目的語に置く必要はありません。もし場所を述べたいのなら、例えば前置詞"to"を用いて
"I go to his house."
とすることができます。注意したいのは、この「完全文/不完全文」という区別は文の構造上のお話であり、意味的に完全かどうかとは別のお話です。なので、「"visit"という動詞が目的語を取らなければならないのは、訪れる場所という情報は意思伝達において必須事項だからだ」という説明をされることがありますが、これは全くお門違いなわけです。何故"visit"は目的語が必要で、"go"は必要ないのか、これはひとえに「そういう決まりだから」でしかないのです。文法用語を使うならば、「"visit"は他動詞であり、"go"は自動詞だから」ということです。この決まりは覚えるしかありませんが、多くの英語を学んだ日本人はこれを「熟語」という形で覚えているので、そこまで心配する必要はありません。"go"には前置詞"to"、"interest"には前置詞"in"というように、中学で習うレベルの動詞については思いつくはずです。それでいいのです。
egad! it worked! / qwrrty
▲第4文型は得てして「誰かに何かを
与える(与えない)」という意味になります。
"give"の他、"make"や"cook"も代表的な
第4文型をとれる動詞です。
もう一つ注意しなければならないことがあります。それは、1つの動詞が複数の文型を取ることがあるということです。例を挙げると、"make"という動詞は主な用法に第3文型、第4文型、第5文型の用法があり、それぞれに
- make O: Oを作る
- make O1 O2: O1にO2を作る
- make O C: OをCにする
という意味があります。なので、例えば
"I make them."
という文があった際に、これが完全文か不完全文かを判定することは出来ません。これを判定するには、この"make"という動詞がどのような意味で使われているのかを本文から推測し、妥当な文型を当てはめる必要があります。この"them"がものであれば、第3文型で完全文となり、「私はこれらを作る」という意味になると推測できますし、この"them"が人であれば、人を作るというのは意味的に妥当でないと判断し、第4文型か第5文型で不完全文であると推測することができます。
PART5の文法問題への応用
動詞の同定
この知識は直接文法問題へ応用することができます。次の文を見てみましょう:
- When I was in need of means of transportation, he _____ me what should I do.
- A) spoke
- B) said
- C) talked
- D) told
問題の文の意味はなんとなくわかります。「交通手段に困ってた時、彼は私に何をすべきかを話した。」とするには、この4つの似たような意味の動詞のどれを選べばいいのか?問題の文を見ると、空欄の後ろに"me"と"what should I do"という2つの名詞(句)があることがわかりますから、この部分は第4文型であることがわかります。選択肢の中で第4文型をとれるのはD)のtoldだけですから、すぐに答えを得ることができます。ついでにこの4つの動詞の代表的な用法を整理しますと、
- speak: 第1文型で「話す」となるか、言語名を目的語にして第3文型となる
- Please speak more slowly.
- He can speak German.
- say: 話した内容を目的語に取り、第3文型になる。
- She said he had had a breakfast and gone out.
- Say "Yes!"
- talk: 話す内容については前置詞"about"を使い、話す相手については前置詞"to"を使う。自動詞であり第1文型を主に取る
- He want to talk to someone about his special experiences.
- tell: 話す相手を目的語に取る。話す内容については前置詞"about"を使って第3文型とするか、直接名詞句をつないで第4文型にすることもできる
- Tell me about what happened in the building.
- Tell me the truth, or you lose your trust.
単語の意味
文構造の解析は、文全体の意味を知る上でも有用となることがあります。次の2つの文を見てみて下さい:
- I'll ask him if he comes the party.
- I'll ask him that if he comes the party.
上の2つの文の意味の違いを説明することができますか?答えから言ってしまうと、それぞれ
- 私は彼にパーティーに行くかどうかを聞くつもりだ。
- 彼がパーティーに来たら、私は彼にそのことを尋ねるつもりだ。
となります。askは第4文型を取ることができ、ask O1 O2で「O1にO2のことを尋ねる」という意味になります。1.の文は"him"=O1、"if he comes the party"=O2となっているのです。ここでは"if"は名詞節になり「〜かどうか」という意味("whether"に言い換え可)になります。一方で、2.の文は"him"=O1、"that"=O2となり、if節は名詞節になることができません。この場合if節は副詞節となり、「もし〜なら」という意味になるのです。このように、文における機能の違いによって意味が変わる単語については、文構造の解析は大変重要になります*2。