なぜTOEICリスニングでは、コピー機が話題に上がると選択肢にコーヒーが出てくるのか?(韓国語におけるfのp化)


コーヒー / TomenoNaoki

3日連続でTOEIC関連のエントリーなので、ちょっとコーヒーブレイクがてら、発音のお話をしましょう。皆様、是非コーヒーをご用意してこの記事をお読み下さい。と言っても、話題はTOEICからですが。

TOEICのリスニング問題で得点が中々取れない人というのは、得てして問題作成者の罠にしっかりハマっている人だと思われます。日本国内にいると、TOEICが唯一無二に近い英語の資格のように思えますが(実際は英検やTOEFLも巷では聞きますけど)、このTOEIC、受験者のほぼ100%が日本人と韓国人で構成されているのは御存知ですか?TOEICは一応は世界で通用する英語能力検定のひとつではありますが、その実態は、日本と韓国でしか重宝されていないというわけです。当然、受験者が偏っていれば、出題形式も偏ってくるわけで、この両国民にとって苦手なのが正に発音。従って問題作成者は、日本人や韓国人が引っかかってくれそうな罠を、しっかりリスニングセッションに組み込んでくるわけです。

  • rightとlight
  • workとwalk
  • problemとprogram

これらは、TOEICではよく出てくる発音の引っ掛け問題です。日本語にも韓国語にも流音(lやr)の区別がないので、lとrを聞き分けるのは至難の技なわけですね。

ちょっとお話が脱線しますが…
因みに、他国民がちゃんとlとrの発音を区別出来ているのかと言われると、どうなんでしょうねというのが僕の意見です。
英語はlとrとを取り違えると意味が変わってしまう単語がありますから、当然英米人は区別は出来るはずです。
問題は他のヨーロッパ諸国です。大学で第二外国語としてドイツ語やフランス語、スペイン語やイタリア語を学んだ人は知っていると思いますが、これらの言語にもlとrはあります。ロシア語にも、文字の形が違うとはいえ、lとrの文字はあります。
しかし、これらの言語では、rの発音が英語と違うというのは知っていますか?同じ言語でも地方によって違ってしまうので一概には言えないのですが、それぞれの標準発音では、

  • フランス語:有声口蓋垂摩擦音[ʁ](俗に「フランスのR」と呼ばれたりします)
  • ドイツ語:(有声)口蓋垂ふるえ音[R](よく「水を含まないでうがいするときの音」と例えられます)
  • イタリア語・スペイン語:歯茎ふるえ音 [r](所謂「巻き舌」です)

であり、英語で一般的な歯茎接近音 [ɹ]とは音が違うのです。まぁ、あちらはお互いが地理的にも近いですし、昔から人的交流が盛んですから、それぞれの言語の発音の違いはある程度わかっているのかもしれませんが。

閑話休題
さて、TOEICの引っ掛け発音のお話に戻りますが。その中でも、日本人にとってはほとんど引っ掛けにならないものとして、coffeeとcopyの例は有名です。コピー機の話をしているのに、選択肢の中に

  • コーヒーのおかわりを下さい。
  • 砂糖は2つでお願いします。
  • ミルクはいりません。ブラックが好きなんです。

のようなものがあるわけです。日本人からすると、なんだこの選択肢は?と思うわけです。(と言いたいところですが、実際のところはそんなことを疑問に思っているほど余裕はないので、すかさず「はい、次の選択肢」と鉛筆を右にずらしているのが実態でしょう。)
何故こんな選択肢があるのか?それは、TOEICの受験者数で日本人と双璧をなしている韓国人が、この引っ掛けに引っ掛かりやすいからなんですね。
ですから、韓国人にとっては、この選択肢には注意を払わなければならないわけです。

何故韓国人はcoffeeとcopyを取り違えやすいかと言えば、それは、韓国語でコーヒーのことを「コピ(커피)」というからに他なりません。コーヒーに限らず、英語でfの発音のものは、韓国語に輸入されると原則pの音になってしまうのです。
▶2010年度のNHK教育の「テレビでハングル講座」では、「カフェ・パランセ(青い鳥)」というところがメインの学習スペースでしたが、この綴りも「카페 파랑새」と、正式に発音すると「カペ・パランセ」でした。

もっとも、日本語にもfの音を表す文字はありませんから、日本ではhの音になっていますね。
まぁ古代日本語の話をしてしまえば、日本語にはそもそもhの音さえなかったわけですが、このお話はまた別の機会(記事)に。

コーヒーとコピーの例に限らず、TOEICでこの手の引っ掛けに出会ったら、鼻で笑って選択肢から除外してくださいね。